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小さな羽根Ⅴ神様の答え9

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅴ 神様の答え9


「さて、ミーメ、私は、ジュナのところに行ってやらねばならない」
「はい」
「お前は、しばらくここで待っていなさい」
「わかりました」

神様は、静かに扉を開けて出て行きました。

しばらくすると“エリア”がミーメをジュナが休んでいる部屋へ案内して
くれました。
右の背中の羽根を外してもらったジュナが、部屋に敷き詰められた白い雲の
上に寝転んでいました。ミーメも隣に〝フワッ〟と寝転びました。

『ジュナ、あの者”に願った羽根を付けて暮らしている時のお前は、心から
幸せそうだった…、また傷つき苦しむことでお前は、仲間たちの心を動かした、
私の心もだ、お前に与えた役目が過酷すぎたのではと迷っていた私の心に
決心をもたらした、お前なら与えた役目を果たすことができるだろうと…』

神様は、ジュナの治療を終えた後、誰もいない部屋へ戻り、考えをを巡らせていました。

『この世では、自分から見て異なものを排除しようとする、だから持って生まれた
ものを変えたいと願う者があるのだろう、差別や苦しみから逃れるために…、
それでも私は、それを許すことはできない、一度許してしまったらこの世では、
見境がなくなってしまうだろうから…、だが、ジュナ、ミーメ、お前たちを
見ていて、叶えてやるべきだろうかと迷ってしまった…、そんな者たちが
他にもいるのだろうとも…、だから、ミーメ、お前の心に映った“
あの者”の姿が真実の姿なら、せめて、“あの者”に造ることを許し、
そのリスクに苦しむ者を治療し休ませてやりたい…、それはジュナの羽根と
同じ造り物なのだから…、その者に異物のリスクを背負うことができるの
なら…、だが、そうすることは正しいことなのだろうか…?』

神様は長い時間考え続け、呟きました。

「とにかく“あの者”に会って話を聞くとしよう…!」

『ジュナ、ミーメ、二人だけでゆっくり休みなさい、ジュナ、お前には、私が何故
お前に仲間と同じ羽根を与えないのか解るだろうか…?、ミーメ、
お前には…?。いつか、お前たちがその意味を理解する時がくることを
私は信じよう…。』


ー“Ⅴ神様の答え10”へ続くー








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小さな羽根Ⅴ神様の答え8

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅴ 神様の答え8


「ミーメ、実は、お前に少し“あの者”のことを聞いておきたい」
「“あの者”とは…?」
「ジュナに造り物の羽根を付けた“あの者”のことだ」
「“名前のない天使”のことですか…?」
「ああ、お前たちにはそう呼ばれているようだな、“あの者”は、お前たちに
造り物の羽根は時々外す必要があることを伝えていなかったのだろう…?」
「はい、だけど、そのことは契約書に書いてあって…」
「それをお前たちが読みそこねていた、だな」
「はい」
「だが、“あの者”には、お前たちを見ていてそうなることが解っていたので
はないか…?」
「えっ…?」
「ミーメ、お前も気づいていたのではないか…?」
「いえ…、私は…、でも、途中から少し…」
「ジュナに痛みが出て、お前たちがもう一度自分のところにくれば、
確実にお前たちを私のところに行くように仕向けられる…」
「はい…、私と彼によってあなたが、持って生まれたものを変えることが
必要なものも在る(いる)ということに気づいて下さるように…」
「ミーメ、お前はそこまで気気付いていて…」
「確かに“あの方”は…、だけど、私たちを救って下さいました」
「“あの者”は、目的を果たすことになるかも知れんな…」
「神様…」
「近頃、“あの者”のところに“あの者”のように、私が願いを聞き入れて
やらなかった者たちが訪れている、お前も知っているだろう…?」
「はい、“あの方”に聞きました、私たちが仲間たちに話したことが広まった
のだとおっしゃっていました」
「そうだな…、それまでは単なる噂だと誰も近づかなかった、だが、
お前たちの話を伝え聞いた多くの者たちが単なる噂ではないと知り訪れている」
「はい」
「“あの者”は、その者たちにも造り物を与えて、私が聞き入れてやらなかった
願いを叶えてやっている」
「そのことで“あの方”にお怒りなら、私にも責任が…!」
「そういうことではないのだよ、ミーメ」
「では…?」
「“あの者”が私への復習心から悪意を持ってそのようなことを行っているの
なら、私は、“あの者”を許す訳にはいかない、だから、お前に聞いておき
たかった、ミーメ、お前はどう思う…?」
「“あの方”のところに訪れる者たちは、希望を持って訪れているそうです、
私は、“あの方”の中に悪意など感じたことはありません、“あの方”は、
私たちの幸せを願って下さっています、きっと訪れている者たちの幸せも
“あの方”は祈っておられます」
「そうか…」
「神様、みんなの希望を消さないで下さい、お願いします」
「解ったよ、ミーメ、ありがとう」


ー“Ⅴ神様の答え9”へ続くー












小さな羽根Ⅴ神様の答え7

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅴ 神様の答え7


「こちらへどうぞ…」
「はい」
「ジュナ、あちらの部屋で待っていなさい」
「はい、解りました」
「準備が済んだらすぐに行く」

神様が椅子から立ち上がり、扉の方へ向かって行きました。
扉の開く音がすると、すぐに神様が案内役の“エリア”を連れて部屋に戻ってきました。
“エリア”はジュナに廊下に出るように促しました。
ミーメは、“エリア”と一緒に部屋を出て行くジュナの背中を見送りました。 

部屋には、神様とミーメが残りました。
神様は、床に座っているミーメの隣に座り、優しい笑みを浮かべてミーメに
話し掛けました。

「不安な思いをさせてすまないな、ミーメ」
「いえ、ジュナと一緒にいようと決めた時に様々なことへの覚悟はしましたから、
このような思いは、もう何度もしてきました」
「お前もジュナと一緒に様々な思いをしてきたのだな」
「きっと、彼は私よりも悲しい思いや苦しい思いをしているんだと思います、
だけど、私には、彼の思いを全て知ることはできません、それがいつも
はがゆいのです」
「そうか、ミーメ、だがな、どんなに求め合っているものでも、相手の心を
全て知ることは不可能だ、相手のことだけで自分の心を追い詰めず、まず、
自分の心を大切にしなさい、そして、自分の心のできる範囲で相手のことを
助けてやりなさい」
「神様、おっしゃっていることは理解できますが、私には彼が全てなのです、
もっと彼を楽にしてあげたい、私は、ずっと彼の笑顔が見ていたいのです」
「いいか、ミーメ、自分を生きることのできない者には、他の者を助けること
などできないのだよ、ジュナはお前に助けられて今まで生きてきた、お前が
自分の心を追い詰め、お前から笑顔が消えてしまったらジュナだって笑顔では
いられないだろう…?」
「はい…、神様」
「大丈夫だ、ミーメ、お前には強い心の力がある」
「ありがとうございます、神様」
「忘れないでほしい、私がジュナにずっと付き添ってやってくれと頼んだ時の
美しい笑顔を…」


ー“Ⅴ神様の答え8”へ続くー








小さな羽根Ⅴ神様の答え6

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅴ 神様の答え6


「神様、もう一つお聞きしたいことがあるのですが…」
「ん…?、なんだ、ジュナ」
「あなたは何故、僕のような者を生み出されたのですか…?」
「必要だからだよ」
「必要…?」
「そうだよ、ジュナ」

雲の椅子から立ち上がろうとする神様にジュナが聞きました。
神様は、もう一度、雲の椅子に深く腰掛けました。

「いいか、ジュナ、ミーメ、今日お前たちがここに向かっている間、仲間たちは、
どうすればお前たちが無理をせずに仕事ができるかを話し合っていた」
「仲間たちが…?」
「そうだ、意見を出し合って、お前たちに休みを作るということを考え出した、
更に意見を出し合い、お前たちが自分たちに気を使わずに休めるようにと
自分たちにも交代で休みの日を作るという答えを導き出した。
「みんなが僕のために…」
「私は、この答えは、お前が導いたことだと思っている」
「僕が…?」
「そうだ、ジュナ、この答えは仲間たちがお前を見ていて、お前のことを理解し、
助けたいと思ったからこそ導き出せた答えだろう、休むということはお前以外の
者にも必要だ、仲間たちはお前を通してそのことにも気付くことができたんだ、
お前が在る(いる)ことは必要なことなんだ、ジュナ」
「神様…」
「ミーメにもお前は必要だろう…?、なあ…、ミーメ」
「はい」
「これがお前の質問への答えだ、解るな、ジュナ」
「はい、神様」
「これから先も、お前はミーメと共に様々なことをその力で切り開いていく
だろう…、それが、私がお前を生み出し、お前に与えた役目だ」


ー“Ⅴ神様の答え7”へ続くー






小さな羽根Ⅴ神様の答え5

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅴ 神様の答え5


「さあ、ジュナ、決めてほしい…、これから先、お前はどちらの羽根と共に
生きていくのかを…、自分自身でもう一度」
「はい、神様…、その二つの選択しか許されないのなら、僕はこれからも仲間と
同じ姿で生きていくことを選択します」
「造られた羽根でもか…?」
「はい、たとえ造り物の羽根でも、本当の僕の姿でいられるのなら、僕はやはり
そちらを選択します」
「そうか…、ジュナ、お前は造り物ではない小さな羽根で痛みも制限もなく飛べる
自由を知っているだろう…?、また造り物の羽根を付けて、仲間と同じ仕事が
できる喜び、自分の望む姿になれた喜びを知っただろう…?、それと同時にそれぞれ
に伴うリスクも十分に知ることができた筈だ」
「はい、神様、おっしゃる通りです」
「それでは、何故、お前は造られた羽根の方を選択する…?」
「どういうことですか…?」
「小さな羽根を付けていたお前にとっての一番のリスクは、仲間とは異なるその姿
をバカにされ陰口を言われることであったのだろう…?、だが、今、お前が小さな
羽根を付けて仲間のところに帰っても以前とは違い、お前を理解しようと、お前を
助けようとしている仲間たちは、もうお前をバカにしたり陰口を言ったりはしない
だろう、仕事のことも理解してくれるだろう、小さな羽根を付けることのリスクは
少なくなっただろう…?、なのに、何故お前は、また多くのリスクを抱えることに
なる造り物の羽根を選択する…?」
「神様、僕はリスクによってどちらの羽根と共に生きるか選択した訳ではござい
ません、僕は、これまでも本当の僕の姿で生きることを望んできました、それは、
これからも変わりません、どんなリスクを背負うことになろうとも、僕は、本当の
僕の姿、仲間と同じ姿で仲間と同じ仕事をしながら生きることを選択します!」
「解った、お前の決心がそれほど強いものなら受け入れよう、それに私は、
お前に自分で決めてほしいと言ったのだからな」
「ありがとうございます、神様」

「ジュナ、今後お前は、また感じることになる痛みを取るために、時々その羽根
を外してしばらく休まなければならなくなる」
「はい、理解しています」
「何度も言っているように、私は、持って生まれたものを変えることを禁じている」
「はい」
「だから、ジュナ、お前たちの暮らしているところでその羽根を外すことは私には
できない、今後その羽根を外して休むことが必要な時はここにきてほしい」
「はい、解りました」
「だがな、痛みを感じているお前が一人でここまで飛ぶことは難しいだろう…、
そこで、ミーメ、ジュナがここへくる時は、今日のようにお前も一緒にきてやって
ほしい、頼めるか…?、ミーメ」
「はい、神様」
「ずっとずっとになるが、約束できるか…?」
「はい、約束します、神様」

神様とジュナの話を聞いていたミーメは、笑顔で応えました。


ー“Ⅴ神様の答え6”へ続くー












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