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ちびちゃんストーリー48おちてきた

(これは物語です)

『おちてきた』

ちびちゃんは、家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くことが
できなかったりするお姉ちゃんやお兄ちゃんと学校の寄宿舎で暮らしていました。
みんなちびちゃんのことをとても可愛がってくれました。

寄宿舎のお部屋は、真ん中にある床に車椅子を止めて、その両側に4人分ずつ
別れて高くなっている畳のスペースに上がって過ごせるようになっていました。
1人1人のスペースには、洋服や本や文房具が入れられる棚が付いていて、
棚の下の方のスペースには開いて下ろせば机になる扉が付いていました。
ちびちゃんは、この扉を自分で開いたり閉めたりしているお姉ちゃんたちを
見ていつもかっこいいと思っていました。
『私も自分で出来るようになりたいなぁ…』

今日は、同じお部屋のお姉ちゃんに扉の開け方と閉め方を教えてもらいます。
まず、扉を開いて下ろしてみます。
「いいか、このとってを引っ張って…」
「うん!!」
「重たいし落ちて来たら危ないからちゃんと力入れて」
お姉ちゃんはそう言いながら、ちびちゃんの後ろで、扉を支えてくれていました。
だから、扉はゆっくり降りて机になりました。
今度は、扉を持ち上げて閉じてみます。
「最後までしっかり閉めんと落ちて来て怪我するからな」
お姉ちゃんは、また、ちびちゃんの後ろから扉を支えてくれました。
だから、扉はちゃんと持ち上がってしっかり閉まりました。
「ほら、出来た!、ちびちゃんすごいやん」
お姉ちゃんはそう言ってちびちゃんを喜ばせてくれました。
『やったー、私にも出来た!』

次の日、学校から帰って来たちびちゃんは、すぐにお部屋に上がりました。
『1人で開けるとこお姉ちゃんに見てもらおう!』
ちびちku樞C鵑蓮・w)€ゥいて机になっている扉の前に座りました。
『まずは閉めなきゃ!』
「よいしょ!!」
ちびちゃんは、力いっぱい扉を持ち上げました。
「えっ!!、重たい!」
“がーん!!”
扉はちびちゃんだけの小さな力では閉まらなかったのです。
扉はちびちゃんに向かって落ちて来て、尖った角っこがおでこに強く当たって、
ちびちゃんはこけてしまいました。
「痛ーい!」
ちびちゃんは、おでこを手でおさえました。
『えー!!』
ちびちゃんは、自分の手に付いているたくさん真っ赤な血を見て、恐怖と痛みで
泣き出してしまいました。

「ちびちゃん!、どうしたん!?」
学校から帰って来たお姉ちゃんがおでこから血を流して泣いているちびちゃん
を見てびっくりしてすぐに先生を呼びに行ってくれました。

「ちびちゃん、大丈夫か!」
先生は、おでこにタオルを当てて、すぐにタクシーで病院に連れて行って
くれました。
「痛いやろ~、かわいそうに、もうちょっと我慢しいな」
タクシーの中で先生はちびちゃんの手を握っていてくれました。
ちびちゃんの中の恐怖は薄れて、もう泣いてはいませんでした。

『あの時は、お姉ちゃんがいてくれたから出来たんやなぁ…』
“女の子だから顔に傷が残らないように”と麻酔をせずに縫われた5針の痛みに
耐えながら、ちびちゃんはボンヤリ思いました。


-おわり-







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ちびちゃんストーリー47やくそく

(これは物語です)

『やくそく』

ちびちゃんとまあちゃんはとても仲良しです。
まあちゃんは二本のまつばづえで歩いている、めがねをかけた男の子です。
小さいちびちゃんとまあちゃんは、いつも一緒に遊んでいました。
「ちびちゃん探したらまあちゃんが見つかるし、まあちゃん探したら
ちびちゃんが見つかるよね」
いつもそんなふうに言われていました。

ある日の学校の休み時間、まあちゃんがちびちゃんの乗っている車椅子を
押して、ちびちゃんがまあちゃんのまつばづえを膝の所と腕で抱えて、
広い校庭を楽しくお喋りしながら廻っていました。

砂場の横を通り過ぎようとした時、ちびちゃんの車椅子の前のタイヤの
片方が砂場にはまってしまいました。
『あっ…』
声を出すより先にちびちゃんとまあちゃんは、一緒に砂場の中に転げ
落ちました。
「痛ーい」
「痛っ…」
一瞬、びっくりして、ちびちゃんは車椅子から落ちたまま、まあちゃんは
転んだまま、見つめ合いましたが、何だか急におかしくなってきて、
二人でそのまま大きな声で笑っていました。
先生がそんな二人に気づいて向こうから走ってきてくれました。
「大丈夫…?」
先生がちびちゃんを車椅子に乗せて、まあちゃんを起こしてくれましたが、
二人はまだずーっとおかしくて、まだずーっと笑っていました。
「全然大丈夫そうね!、二人で楽しそうだし…!」
先生もそんな二人を見てニコニコ笑いました。

「おもしろかったね」
「うん、おもしろかったね」
休み時間が終わって校庭から教室に帰る途中、ちびちゃんはまあちゃんの
言葉に応えました。

「大きくなったら、結婚しようね!」
「うん、しようね!」
ちびちゃんは膝の所と腕でまつばづえを抱えながら応えました。
「やくそくだよ!」
「うん、やくそく!」
二人は、ニコニコ笑ってやくそくしました。


-おわり-








ちびちゃんストーリー46百恵ちゃんとミラーマン

(これは物語です)

『百恵ちゃんとミラーマン』

ちびちゃんは、百恵ちゃんが大好きでした。
あの素敵な山口百恵ちゃんです。

夜の時間に放送していた百恵ちゃん主演のドラマが最終回を迎えてしまったのです。
それまでも百恵ちゃん主演の同じシリーズのドラマが何作か続いていましたが、
ちびちゃんは、百恵ちゃんがちびちゃんと同じ車椅子の少女の役を演じている
そのドラマが一番好きでした。
だから、そのドラマが最終回を迎えた時は、それまでのドラマ以上に寂しい気持ち
でいっぱいになりました。
『あ~あ…、終わっちゃった…』

ある日、ちびちゃんはそのドラマが再放送されることを知りました。ちびちゃんは、
天にも昇りそうなほどの気持ちになりました。
『やったー!、絶対見なくちゃ!』

今日の夕方から百恵ちゃんのドラマの再放送が始まります。
『あっ、もうすぐ百恵ちゃん始まる!』
ちびちゃんはよつばいでテレビのある部屋に行きました。
すると、テレビの前には下の妹がちょこんと座っていました。
「チャンネルかえて」
ちびちゃんが言うと、妹は応えました。
「ダメ」
「何で…?」
「今からミラーマン見るもん!」
「えー、ミラーマン…?」
「うん!」
「今から百恵ちゃんのドラマ見たいんだけど…」
「だって、みーちゃんが先にここにいたもん、ミラーマン見るの」
「百恵ちゃん見せて!」
「ダメ、ミラーマン!」
妹は、“絶対に動かないぞ”と言うように、“ドガっ”とテレビの前に座って
ミラーマンが始まるのを待っていました。
「ねぇ、百恵ちゃん見せて!」
「ダメ!、ミラーマン見る!」
「百恵ちゃん!」
「ミラーマン!」

言い合っているミ“ラーマン”が始まりました。
『あ~、もう、百恵ちゃん始まる~!』
“ガブッ”
「痛っ!」
ちびちゃんは、ミラーマンを見ている小さな妹のお尻にかじりつきました。
“ひどーい”そんな声が聞こえて来そうですよね。

それから…、お尻にかじりつかれた妹は、泣きながらお母さんの所に行き、
ちびちゃんは、その間にチャンネルをかえて、再放送の百恵ちゃんのドラマ
を見ていました。

もちろん、そんなちびちゃんは、お母さんに怒られました。


-おわり-






ちびちゃんストーリー45よなかのろくおん

(これは物語です)

『よなかのろくおん』

ちびちゃんは、家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くことが
できなかったりするお友達と学校の寄宿舎で暮らしていました。
ちびちゃんより大きなお兄ちゃんやお姉ちゃんもたくさん暮らしていました。

「ちびちゃん、昨日、夜中に寝言言ってたで」
「うそ…?」
「ほんま、“せいやくーん”て」
「えー、うそー」
「ほんまやて、せいやくんのこと好きなんやろー」
『寝てる間にそんなこと言ってたなんて、私も解らない間に…?』
ちびちゃんはビックリしました。

せいやくんは、いつもちびちゃんに優しくしてくれる高校生のお兄ちゃんです。
寝言を聞いたお姉ちゃんの言う通り、ちびちゃんはせいやくんのことが
大好きでした。
『恥ずかしいなぁ…、ほんまにそんなこと言ってたんかなぁ…?』

ちびちゃんは、夜中の自分の寝言をカセットテープに録音してみようと
思いました。
その日の泊まりの先生に、見回りの時にカセットテープをひっくり返して
くれるようにお願いして、ラジカセを枕元に置いて、録音のスイッチを
入れてお布団に入りました。
『何がとれるかなぁ…!』
ちびちゃんは、何だかワクワクしながら眠りました。

次の日の朝、起きるとラジカセの録音のスイッチは切れていました。
「ちびちゃん、早く着替えんと、朝ごはん遅れるよ」
先生に言われて、ちびちゃんは着がえをしました。
朝ごはんを食べて、学校に行って勉強して訓練して、寄宿舎に帰って来て、
お部屋に行って、やっと昨日のカセットテープを巻き戻して、ラジカセの
再生のスイッチを入れました。
ずーっと何の音も聞こえなくて、少し“カサカサ”とか寝息のようなもの
が聞こえて…、ずいぶんして部屋に入って来た先生の足音とカセットテープ
をひっくり返すみたいな音が聞こえました。
そのあとは、カセットテープをA面からB面にしても寝息と“カサカサ”
と何か解らない音しか聞こえませんでした。
『な~んだ何もとれてないな…』
ちびちゃんは何だかガッカリしてしまいました。

「どう…、寝言とれた…?」
ちびちゃんの寝言を聞いたお姉ちゃんが聞いてくれました。
「ううん、何もとれなかった…」
ちびちゃんは、ガッカリで応えました。
「そうやろ~そんな大事な心の声はな、簡単に録音したりできひんもん
やねん!」
「大事な心の声…?」
「そうや、大事にしいや」
お姉ちゃんは、ニコニコ笑ってちびちゃんにそう言いました。
ちびちゃんは、何だかくすぐったいような、嬉しいような気持ちになりました。


-おわり-









ちびちゃんストーリー44おやすみの時間

(これは物語です)

『おやすみの時間』

ちびちゃんは、家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くことが
できなかったりするお友達と学校の寄宿舎で暮らしていました。
ちびちゃんより大きなお兄ちゃんやお姉ちゃんもたくさん暮らしていて、
ちびちゃんをとても可愛がってくれていました。

小学生のちびちゃんは、もうおやすみの時間です。
パジャマに着替えたちびちゃんは、先生におトイレに連れて行ってもらいます。
自分でオシッコをする練習をしているちびちゃんは、いつも寄宿舎にある
おトイレではなく、ちびちゃんがよつばいで動けるように造られている学校
にあるおトイレまで寄宿舎の先生連れて行ってもらっていました。
部屋を出て、廊下を進んで、学校に続くスロープを真っ暗な学校に向かって
上って行くのです。

スロープの所に行くまでに寄宿舎には大きな食堂があります。
いつもちびちゃんもご飯を食べたりしている食堂です。
だけど、この時間の食堂は、ちびちゃんには何だかちょっと違って見える
のです。
小学生のちびちゃんはおやすみの時間だけど、中学生や高校生のお兄ちゃん
やお姉ちゃんは、この食堂でコーヒータイムです。
お兄ちゃんやお姉ちゃんは、自分たちで持ち寄ったコーヒーや紅茶を飲んだ
り、お菓子を食べたりして楽しそうにおしゃべりしています。
『いいな~』
横目で見て通り過ぎるちびちゃんには夢の世界です。

少し時間をかけておトイレを済まして、スロープを下って、灯りのついた
寄宿舎に戻ってきました。
また食堂の前を通りかかった時、車椅子を押してくれていた先生が言って
くれました。
「ちょっと寄って行こか」
「えっ、いいん…?」
「うん、特別、ちょっとだけな」
「うん!」

ちびちゃんは、夢の世界に入りました。
『わぁ~!』
ちびちゃんが嬉しくてドキドキしていると、いつも可愛がってくれている
お姉ちゃんが声をかけてくれました。
「あれ、ちびちゃん、どうしたん…?」
「今日はな、特別やねん!」
後ろの先生が言ってくれました。
「そうか!、じゃあ、特別な紅茶入れてあげるな」
お姉ちゃんは甘い紅茶とお菓子を持ってきてくれました。
「はい、特別なお菓子も!」
「ありがとう!」
「おいしいやろ!」
「うん!」
「特別やからな!」

「よかったな、ちびちゃん」
「うん!」
「ちびちゃんももう少しお姉さんになったら、コーヒータイムデビューが
できるしな」
「うん!」
「ちびちゃんも優しいお姉ちゃんになってな」
「うん!」

『先生は私がコーヒータイムに行きたいって知ってたのかなぁ…?』
ちびちゃんは暖かいお布団を鼻先までかぶって、お姉ちゃんにもらった
甘いお菓子と紅茶の味を思い出しながら思っていました。


-おわり-












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