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ショートストーリー11チョコレート

(これは物語です)

『チョコレート』

「はなちゃん、早くお部屋片づけてきなさい!」
「うん、もうちょっとだから」
はなちゃんは、何度ママに言われてもリビングで本を読んでいます。
「もう、ママお買い物から帰ってきちゃったわよ!」
「わかってる」
はなちゃんは、読んでいる本から目を離さないで応えました。
「ほら!、早く片づけないと晩ごはんなしよ!」
ママはとうとうはなちゃんの読んでいた本をとりあげてしまいました。
「なによ!、ママなんて大嫌い!」
はなちゃんは、外へ飛び出して行きました。

『ママなんて…!、何もとりあげることないのに…!』
はなちゃんは、プンプンしながら公園のベンチに座りました。

「はい、はなちゃん」
お買い物から帰ってきたママは、リビングで本を読んでいるはなちゃんの
手のひらにチョコレートを3つのせてくれました。
「ありがとう!」
はなちゃんはママの優しい笑顔にそう言って、チョコレートをスカートの
ポケットに入れました。
そして、また本の続きを読み始めました。
「はなちゃん、お部屋片付けた…?」
「まだ~」
「えっ、まだなの…?」
はなちゃんは、学校から帰ってきたら、ママがお買い物に行っている間に
お部屋を片づけるってママと約束していたのです。
だけど、はなちゃんは、リビングで、探していた本を見つけて、
『ちょっとだけ…』と読み始めて夢中になってしまい、ずっと読み続けて
しまうことになってしまったのです。

はなちゃんのお腹がグーっと鳴りました。
何となくスカートのポケットに手を入れると、あめみたいな形のちっちゃな
チョコレートが入っていました。
『あっ、ママにもらったチョコレート…』
はなちゃんは、チョコレートを包んでる紙をあめみたいにクルクルって
むいて、ちっちゃいチョコレートを口の中にポイっと入れました。
『うわ~!』
チョコレートは口の中でフワフワ溶けてとても甘くて、プンプンしてた
はなちゃんの気持ちにも優しくフワフワって溶けていきました。
「ママ…」
ママの優しい笑顔を思い出したはなちゃんは、凄くママに会いたくなって、
走ってお家に帰りました。

「ママ~、ただいま~」
はなちゃんは、お家に入ると、元気に言いました。
「はなちゃん…?、おかえりー」
ママの優しい声に迎えられてはなちゃんはホッとしました。
リビングに入ると、奥のキッチンでごはんを作っていたママがはなちゃん
の顔を見ながらいつもの笑顔で言いました。
「もうすぐごはんできるからね」
はなちゃんは、その優しい笑顔に心の奥ががフワッとして、少し泣きそうに
なりました。
「私、ちょっと、お部屋片付いてくる」
お部屋に向かったはなちゃんの後ろ姿にママが言いました。
「今日はね、ハンバーグよ!」

お部屋に入ったはなちゃんは、さっきまで読んでいた本を机の上に
見つけました。
はなちゃんのお部屋の片づけは、その本を大切に本棚にしまうことから
始まりました。


-おわり-















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ショートストーリー10…を守るために

(これは物語です)

『…を守れるために』

大きな地震がおこりました。
「国民の命を守れるのために原発の廃止を!」
毎日毎日テレビからそんなニュースがながれてきました。

「そうよね、またあんな地震がおこったら怖いものね」
ママはニュースを見ながらポツリと言いました。
「えっ、なあに…?、ママ、げんぱつってなあに…?」
そらくんはママに聞きました。
「電気を作るためのところよ」
「こわいの…?」
「あのね、この前の大きな地震のときにね、見えないエネルギーがたくさん
外にもれちゃったの…、人間の体を病気にしちゃうかもしれないのよ」
「ぼく、病気になりたくないよ」
「だからね、なくした方がいいのよ」「ふ~ん、そうなんだ」
そらくんは言いました。

時が過ぎてました。
「国民の生活を守れるために、原発の再稼動を!」
テレビからはこんなニュースがながれてくるようになりました。

「そうよね、原発が止まったら、やっぱり困るものね」
ママはニュースを見ながらまた“ポツリ”と言いました。
「えっ、ママ、げんぱつってこわいんでしょ…?」
そらくんはまたママに聞きました。
「でもね、止まちゃったらちょっと困るのよ」
「どうして…?」
「電気がたくさん作れなくなって、電気のお金が高くなっちゃうの」
「でも、ぼく、病気になりたくないよ」
「ここは大丈夫よ、なくさない方がいいのよ、生活を守れるために」
「ふ~ん、そうなんだ」
そらくんは言いました。

人は、何を守りたいのでしょう…?
人は、何を守れるべきなんでしょう…?


-おわり-








ショートストーリー9 またあしたね!

(これは物語です)

「またあしたね!」

みかちゃんはお友達に手をふりました。
「さぁ、帰ろうか」
「うん!」
お母さんと手をつないでお家へと続く道を歩き出しました。

みかちゃんは、ふと立ち止まってお母さんに言いました。
「ねぇ、お母さん」
「なあに?」
「あしたってどっから来るの?」
「えっ、どっから?、みかちゃん、あしたはねぇ
お母さんは、みかちゃんと手をつないだまま後ろを振り返りました。
だから、みかちゃんも一緒に後ろを向きました。
オレンジ色のお日さまが道の向こうに沈もうとしていました。
「ほら、みかちゃん、お日さまもお家に帰えろうとしてるでしょう!」
「ほんとだ、すごくキレイだね!」
「そうね、お日さまがお家に着いたらね、夜になるのよ」
「そうか、お日さまがお家に帰っちゃうから夜は真っ暗なんだね」
「うん、そして、朝、みかちゃんが目を覚ます前には、お日さまがあした
連れてきてくれるのよ」

「そしたら、また、お友達に会えるんだね!」
「そうね!」

「またあしたね!」
みかちゃんはお母さんと手をつないでお日さまにあいさつしました。
そして、お家へと続く道をまた元気に歩き出しました。


-
おわり-







小説 もう一度3きみこ

(これは3話完結の小説の2話目です。登場人物はすべて架空の人物です。)

3.きみこ
 
暑い夏の夜、電話が鳴った。
帰りの遅い娘だと思い、少しウンザリと受話器をとった。
「もしもし、とわこ…?」
その問いかけに応えたのは、聞き慣れた娘の声ではなかった。
「警察…?」
「ええ、すぐに確認に行って下さい」
私は、すぐに指定された病院に向かった。

機械から伸びているたくさんの管に繋がれた体が目に入った。
ベットに近づいて恐る恐るその顔を見た。
間違いなく娘だった。
「とわこ…、何で…?、どうしたの…?」
「娘さんですか…?」
私の様子を見ていた看護士が話しかけてきた。
「はい…、この子もうすぐ結婚式なんですよ」
「そうなんですね…」
看護士は、淡々と応えた。

私は、今朝普段と変わりなく家を出た娘に何があったのか訳が解らない
まま、事情を説明されていた。
「娘さんは、信号無視の車にはねられたみたいです」
「何故、わかるんですか…?」
「それは、幸い、跳ねた車の運転手が救急車を…」
『幸い…?』
私は、その言葉に大きな違和感を感じた。
『この人は、早く処理できたから幸い…、他人事よね』
この時の私は、娘の変わり果てた姿に取り乱している一方で、こんな
冷静なことを考えていた。
「運転手が車に飛ばされた娘さんを発見し、救急車を呼んだ後、警察に
自首してきましてね」

たくさんの説明を受けて、私はやっと娘のいる病室に戻れた。
「遅くなってごめんね…」
すぐに医者が入ってきた。
「先生、娘は…?」
「お気の毒ですが、娘さんが目を覚ますことはもう…」
「娘は助からないんですか…?」
「お気の毒ですが…」
私の瞳からはひとりでに涙が流れ出した。

「あなたね、携帯電話だけしっかり握っていたんですって…、あなたの体
が携帯電話を守ったって…、それでね、自宅の番号がわかったんですって」
医者が出ていった後、私は、意識のない娘にそう話し、娘の携帯でもう
すぐ娘が結婚する筈だった婚約者に電話をかけた。
「今ね、こうき君に連絡したからね」
やっぱり、娘の意識は戻らないままだった。
『ごめんね…、とわこ…、お父さんが死んでから、あなたに随分寂しい
思いさせたわよね、あなたには、幸せになってほしかった、あなたの結婚
が決まった時、とても嬉しかったわ、なのに、ごめんね、お母さん、
変わってあげられなくて…、ごめんね、とわこ…』

「ごめんね…、ごめんね…、ごめんね…」
私は、声に出して娘に何度も誤った。
病室の扉が開いて、こうき君が入ってきた。
「こうき君…、ごめんね…、とわこは、もう…」
「えっ…?」
こうき君の顔は青ざめていた。
彼は娘の顔も見ず、すぐに病室を出て行ってしまった。
何事もなかったように、また病室は私と娘だけになった。

「もう一度…、愛しているわ…」
二人だけの時間がどれだけ過ぎただろう、真夜中すぎ、娘のうわごとが
聞こえたような気がした。
「とわこ…!」
私は、慌てて看護士を呼んだ。
医者が病室に入ってきて、処置を始めた。
「とわこ…、もう一度…、もう一度戻ってきて!」
私の願いは届かず、数分後、娘に繋がれた機械から、心停止を知らせる
音がした。

娘を失った時、私にはもう一度、娘の婚約者に電話することしか
できなかった。


ー終わりー








小説 もう一度2 とわこ

(これは3話完結の小説の2話目です。登場人物はすべて架空の人物です。)

『もう一度』 2.とわこ
 

暑い夏の夜のデートの後、私は、愛する彼が別れ際にもう一度キスを
してくれなかったことにふくれながら、母が一人待つ自宅に向かって歩いていた。
もう一度、彼の声が聞きたくなって、バックから携帯を出し、彼の番号を
画面に表示した時、いきなり車のライトの光が目に飛び込んきた。
私は、彼の番号が表示された携帯電話を“ギュッ”と握り締めた。
私の体は浮き上がり、そのまま意識が薄れていった。 

私の体はたくさんの管を着けられ、病院のベットに寝かされていた。
私は何処からかその光景を見ていた。
母と白衣を着た男の人が話をしていた。
「お気の毒ですが、娘さんが目を覚ますことはもう…」
「娘は助からないんですか…?」
「お気の毒ですが…」
『えっ…、死んでしまったの…?、私…』
母は涙を流していた。
「私は…、ここにいるわ…、お母さん…」
泣いている母に一生懸命話しかけたけど、声は出てくれなかった。

母がベットの私に話かけた。
「あなたね、携帯電話だけしっかり握っていたんですって…、あなたの体が
携帯電話を守ったって…、それでね、自宅の番号がわかったんですって」
『へ~、凄いなぁ…』
私は、人事のようにそう思った。
「今ね、こうき君に連絡したからね」
そう言った後、母は私に謝り続けていた。
『何故、謝っているの…?』

しばらくして、彼が病室に入ってきた。
彼の顔は青ざめていた。
「こうき君…、ごめんね…、とわこは、もう…」
「えっ…?」
彼はすぐに病室から出て行った。
私に繋がれた機械はまだ動いていた。

私は、彼の部屋にいた。
「こうき…」
その声は、ベットで眠る彼には届かなかった。
「もう一度、キスしたかった…」

突然、開いていた窓から見知らぬ男が入ってきた。男はとても暴力的な
目をしていた。
「彼に近づかないで…!」
私は、男の腕をつかんだ。
私が男の中に“スー”っと入っていった。
「こうき…」
彼は、もうろうとしたまま立ち上がった。
私は、自分の唇を愛おしい彼の唇に重ねた。
「もう一度…、もう一度だけ…」
「とわこ…」
彼は私に気づいてくれた。
『こうき…、愛しているわ、ごめんね、結婚できなくて…』
「もう一度…、いいでしょう…、お別れだから…」
私はもう一度、彼の唇に私の唇を重ねた。
「とわこ…、愛してる…」
彼は私を抱きしめてくれた。
その時、体の力がゆっくり抜けて行くのを感じた。

遠くから、命が終わった音が聞こえた。


ー終わりー








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