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物語 手のひら1

(これは物語です)

『手のひら』1

私は、生まれた時から体に障害がありました。
おとなになった私は、1人暮らしを始めました。

私には、朝ベットから車いすに座るにも、着替えをするにも、
トイレをするにも、ごはんを作って食べるにも、外出するにも、
の中に入るにも、テレビを付けたり消したりするにも、車いす
からベットに寝るにも1日の全てのことに介助が必要です。
だから、私の家には、朝起きてから夜寝るまで交代でずっと
ヘルパーさんがきてくれます。
1人暮らし…?、そう、それでも私は、1人暮らしです。

“カチャ”、朝、玄関の鍵が開いて、私の家の中にヘルパーさん
が入ってきました。
「おはようございます」
ヘルパーさんが、私の寝ている寝室に入ってきて、まだ意識の
ハッキリしない私の着替えを始めてくれました。
『はぁ…』
私は、小さなため息をつきました。

着替えが終わって、ベットから車椅子に移してもらって、洗面所
で歯を磨いてもらって、顔を洗ってもらって、化粧水をつけて
もらった私は、朝食を食べさせてもらうためにリビングのテーブル
の前に連れて行ってもらいました。

ヘルパーさんがポストから持ってきてくれたテーブルの上のチラシ
の文字が、顔を洗ってもらって意識がハッキリしてきた私の目に
映りました。
“…ヘルパー無料お試しキャンペーン開催中”
『ん…?』
チラッと見えたその文字にとても心惹かれてしまった私は、
朝食の準備をしてくれているヘルパーさんに、そのチラシを私の方に
近づけてくれるようにお願いしました。

チラシは私の目の前に置かれ、その文字はハッキリ見えました。
“アンドロイドヘルパーお試しキャンペーン開催中”
「何だろう…?」
私は、声に出して呟いていました。

ー“手のひら2”へ続くー









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彼女のストーリー8そういえば…。

(これは物語です)

『そういえば…。』

彼女は、彼と2人で地下鉄に乗っていました。
目的地について電車を降りました。
彼に車椅子を押してもらって、エレベーターに向かっていると、聞き覚えの
ある声が聞こえて来ました。
「おはようございまーす」
少し言語障害のあるその声の主は、彼女と同じように電動車椅子に
乗っている男性の友達でした。
『あっ!』
彼女は、気づいて、ちょっとニコっとしました。

彼女と彼がエレベーターに乗って、彼が彼女の車椅子をドアの方に回転
させると、年配の女性が1人乗って来ました。

さっき会った友達がドアの前で手を振っています。
彼女はまた何となくニコっとして、ドアが閉まるのを待っていました。
ところが、ドアは中々閉まりません。
『あれっ…?』
彼女は、ボタンが並んでいる方を見ました。

彼女と彼の後からエレベーターに乗ってきた女性が“開く”のボタンを押していました。
『あ、そうか…!』
彼女は気づきました。
女性は、彼女の友達が乗ってくると思い、“開く”のボタンを押して
待ってくれているのでしょう…。
エレベーターの外にいる友達は、それに気づかずに、エレベーターの中の
彼女に手を振っているのでしょう…。

今、エレベーターには、電動車椅子の彼女と押してくれている彼と“開く”
のボタンを押して待ってくれている女性が乗っています。
『友達は、きっとこの中に乗るのは無理だと思って、ドアの前で手を
振っているのだろう』と彼女は思っていました。
だから、女性に“閉めてもらっても大丈夫です”と伝えようと
しましたが、自分が勝ってに言うのも…、という気がしました。

そこで彼女は、まだドアの前でニコニコ手を振っている友達にいきなり
声をかけてしまいました。
「乗って来れる…?」
友達は、少し驚いた様子でしたが、彼女の問いかけで、エレベーターの
中の事情に気づいてくれたみたいで、彼女に伝わりやすいように、
手で大きく“×”を作ってくれました。
それを見た彼女は、すぐに“開く”のボタンを押してくれている
女性に伝えました。
「あの…、閉めてもらっても大丈夫です」
女性も彼女と友達の様子を見て、事情を理解してくれたみたいで、
今度は、“閉める”のボタンを押してくれました。
ようやくエレベーターのドアは閉まりました。

『そう言えば…、何年会ってなかったかなぁ…?』
彼女は、ふと思いました。
『一緒に仕事してた頃みたいに何気なく…、だったけど…』
彼女は、何だかタイムスリップのような不思議な感覚になりました。


-おわり-







彼女のストーリー7わかった!

(これは物語です)

『わかった!』

彼女は、友達とパスタのお店に来ています。
メニューを見ていた彼女は思いました。
『まただ…』

今日の彼女は、1人でオムライスのお店にきています。
メニューを見ていた彼女は、また思いました。
『まただ…』

映画を見に行った帰りに友達と行ったファーストフード店でも、
メニューを見て彼女は、やっぱり思ってしまいました。
『まただ…!』

お店で何を食べようかとメニューを見る度に彼女は思うのです。
『まただ…!』

彼女は近ごろ、どんなお店に誰と食事に行っても、“シュリンプ~”とか、
“えびと~の”とか、“~とえびの”とか、“海老~”とか、メニューにある
えび”や“海老”や“シュリンプ”という文字に心惹かれてしまうのです。
『なんでだろう…?』
彼女は思っていました。

あるファーストフード店の新製品を知った彼女は、どうしても食べてみたいと
思いました。
それは、ハンバーグではなくて、揚げたえびがメインになっているバーガーなのです。

彼女は、1人で食べに行きました。
彼女は、お店に入ると、メニューも見ないでお目当てのバーガーを注文しました。

「お待たせしました」
バーガーの包みを開き両手で持つと、バーガーからはホワッとした暖かさが
伝わってきました。
彼女は、バーガーを食べ始めました。
食べ進むと、プリプリとしたえびの食感に出逢いました。
『おいしい…!』
彼女は、何とも言えない幸せな気持ちになりました。

「わかった!」
彼女は、思わず、小さく口に出して言ってしまいました。
その時、彼女はハッキリ思ったのです。
『私、えび、大好物なんだ…!』


-おわり-







彼女のストーリー6ゆで卵

(これは物語です)

『ゆで卵』

彼女は、彼のためにゆで卵を作ることにしました。

ヘルパーさんが帰る前に、電気コンロとお鍋と生卵を2つ、リビングキッチン
のテーブルの上に置いてもらって、電気コンロのコンセントを入れてもらって
おきました。

「さぁ、作ろう~!」
彼女は、まず、テーブルの電気コンロの上にお鍋を乗せました。

それから、電動車椅子を運転して、シンクの所に行きました。
彼女が持ちやすいコップにお水を入れ、こぼさないように電動車椅子を運転して、
テーブルの所に戻って、そーっと電気コンロの上のお鍋に入れました。
『まだまだだなぁ…』
彼女は、この動きを何度か繰り返しました。

『よし、いい感じ』
お鍋のお水がいい感じの量になりました。
彼女は、次に電気コンロのスイッチを入れようとしましたが、もう一度シンクの所に
戻り、できあがったゆで卵をお鍋からすくうための網のおたまと、すくったゆで卵を
乗せるためのお皿を取ってきて、テーブルの上の電気コンロの横に置きました。

『よし!』
彼女は、いよいよ電気コンロのスイッチを入れました。
しばらくお鍋を覗いていると、お水に少しずつ泡が出てきて、そのうち大きな泡に
なって、お鍋の中でブクブクブクブクしだしました。

『湧いてきた!』
彼女は少しドキドキしながら、テーブルの上の2つの生卵をお鍋の中に入れました。

『え~っと、おばあちゃんに教えてもらったいい感じの半熟になる時間が…、
確か2分半だったな!』
彼女は時計を見ながら待ちました。

『よし!、今だ!』
彼女は、お皿をコンロに近づけて、網のおたまでお鍋の中でブクブク踊っている
2つのゆで卵をすくってお皿に乗せました。
「できた!」
大切な2つのゆで卵ができあがりました。

彼女は、お皿の上の2つゆで卵を愛おしく見つめました。
『彼、喜んでくれるかなぁ、おいしくできたかなぁ』
彼女は、ドキドキしながら、彼を待ちました。

“カチャ”玄関の鍵が開きました。
『あっ、きた…!』


-おわり-










彼女のストーリー5突然の訪問

(これは物語です)

『突然の訪問』

彼女は、夜ベットでいつもの音楽番組を見ていました。
『この番組っておもしろいのかなぁ…、大した人も出ないし…、
やっぱり、前の番組の方がよかったよなぁ…』

“前の番組”には、彼女が大物だと思っているアーティストがたくさん出演
していたのです。
彼女の大好きなアーティストもその番組のレギュラーのように度々出演して
いました。
ところが、10年続いたその番組は突然終了してしまったのです。
『え~、この番組よかったのに…、何で終わっちゃうの…?』
彼女は、凄く淋しい気持ちで最終回を見ました。

すぐに次の音楽番組が始まりましたが、その番組は、始まって何ヶ月も
経たないうちに終了してしまいました。
『ほら、だめでしょ』

そして、今見ている音楽番組が始まったのです。
彼女は、“とりあえず、番組の行く末を見てみよう”という感じで新しい番組
を見始めました。
今夜も他に見たい番組もなくて、やっぱり見ていました。

番組が始まり、少しして、彼女が大好きなあのアーティストの発売前のアルバム
の話題が流れ始めたのです。
「あら!」
彼女は、声に出しました。
そして、そのアーティストがスタジオに現れたのです。
彼女は、いつもホームページで彼の出演する番組などはチェックしていたの
ですが、今夜の番組の出演は何故かチェックできていませんでした
「あらあら!、知らなかった!」
彼女のテンションはいきなり上がりました。
彼は、彼女の大好きな曲を弾き語りしてくれて、発売前のアルバムの曲を
歌ってくれたのです。
大好きなアーティストのテレビからの突然の訪問に彼女の心はすっかり
温まりました。
『この番組、また見よう!』
彼女は幸せな気持ちで眠りました。


-おわり-









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