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『大好き』17

(これは物語です)

「2.こすもす」

ー7.ありがとうー

あたしは、きっと、知っていたの
「おはよう」
ぼくちゃんの元気な声には、もう、ゆらゆら応えてあげられないこと
あたしの命は、土の中から出たら、消えてしまうこと
あたしの力は少しずつ消えていってるの…
風は、静かに止まったの…

風は、少しずつ冷たくなってきているの
短いあたしの季節は、命は、終わりに近づいているの
だから、あたし、ぼくちゃんのそばにいきたかったの

ぼくちゃんは、命が消えていくあたしとずっとずっといてくれたの
あたしは、その力が消えていくまでぼくちゃんに伝えたの
〈ありがとう…〉あたしを見つけてくれて
〈ありがとう…〉あたしとお話してくれて
〈ありがとう…〉淋しさ教えてくれて
〈ありがとう…〉やさしさくれて

「ここならきみはひとりぼっちじゃないね」
あたしは、ぼくちゃんの声と、原っぱいっぱいのお花を感じたの
このお花は、きっと…、あたしと同じ“こすもす”でしょう…

あたしは、消えていく命を感じながら
〈またね〉
ぼくちゃんに、小さく、呟いたの
ぼくちゃん…、ありがとう…

少し冷たくなってきた風が、またやさしく吹いていたの…


ー“大好き18”へ続くー







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『大好き』16

(これは物語です)

「2.こすもす」

ー6.やさしさー

「あした、またいっぱいお話しようね」
ぼくちゃんは、あたしを鼻先に寝かせてくれたの
あたしは、初めてふわふわの草の上に寝かせてもらったの

あたしは、幸せな気持ちをいっぱい感じていたの
ぼくちゃんのやさしさに、あたし全部で包まれていたの


風は、あたしとぼくちゃんのそばで激しく吹いていたの
風の激しい声よりも大好きなぼくちゃんを強く感じていたの
あたしは、ぼくちゃんに包まれていたの

あたしは、いっぱいのやさしさに包まれていたの
あたしは、ぼくちゃんと幸せな気持ちで眠ったの


ー“大好き17”へ続くー






『大好き』15

(これは物語です)

「2.こすもす」

ー5.いっしょー

ぼくちゃんは、朝、丘にやってきて、あたしとお話してくれるの

夜になったら、ぼくちゃんは、おやすみの場所に帰っちゃうの…
あたしは、とても淋しくなるの
もっと、ずっと、ぼくちゃんと“いっしょ”にお話してたいのに…

ぼくちゃんが、夜になってあたしに言ってくれたの
「“いっしょ”にぼくのおやすみの場所に帰ろうよ!」
あたしは、凄く嬉しかったの
〈いいよ、嬉しい!〉
あたしは、いっぱいゆらゆら揺れて、ぼくちゃんに言ったの

ぼくちゃんは、あたしを土の中から抜いてくれたの
そして、おやすみの場所に“いっしょ”に帰ってくれたの
〈ずっと“いっしょ”にいられるね!〉
あたしは嬉しくて、初めての帰り道で、そっとぼくちゃんに言ったの

〈風は知ってるの…?〉
だから…、いつもより強く吹いてるの…?
だから…、あたしとぼくちゃんのあと、ついてくるの…?
あたしに、《そのこと》教えるために…?
大丈夫…、あたしも、きっと、《そのこと》知ってるから…

それでも、あたしは、ぼくちゃんと“いっしょ”にいたいの…!


ー“大好き16”へ続くー












『大好き』14

(これは物語です)

「2.こすもす」

ー4.おはなしー

ぼくちゃんは、毎日、あたしにたくさんお話をしてくれたの

「今日ね、ちょちょさんがお鼻にきてね、ムズムズしたから、
《ふんっ》ってしたらね、ちょちょさん、飛んでちゃった!」
〈ちょうちょさん、びっくりしちゃったのね〉
あたしは、ゆらゆら揺れて、ぼくちゃんに言ったの

「あのね、お魚、あそこのお池にいっぱいいるんだよ」
〈そうなの!〉
あたしは、グ~って伸びて、お池の方を見てたの

「ねぇ、ねぇ、さっきね、ぼくと同んなじなのに大きな体した
わんこがいつもの野原の端っこでゴロってしてたよ!」
〈この丘の下も通るよ!〉
あたしは、また、通らないか丘の下を見たの

「ぼくね、早くここに来たくて走ってたからけとばしそうになっちゃった!」
〈あたしも早く会いたかった!〉
ぼくちゃんが、ここに早くきたかったって言ってくれて、嬉しかったの

あたしは、この丘で毎日、ぼくちゃんを待ってるの


ーこすもす15へ続くー







『大好き』13

「2.こすもす」

ー3.ぼくちゃんー

「ねぇ、ねぇ、きみはずっとここに立ってるの?」
わんこは、やっとあたしを見つけて話しかけてくれたの
あたしは、ゆらゆら揺れて精一杯あいさつしたの
「きみのお話、ぼくにはちゃんとわかるからね」
わんこは、あたしのあいさつ見て言ってくれたの

あたしのお話見てくれるのは、風だけって思っていたの…
「ぼくね、きみのお話わかるよ」
だけど、わんこは、言ってくれたの
あたしは、とても嬉しかったの

わんこは、いつも“ぼくね、ぼくね”ってお話してくれるの
あたしは、大好きなわんこを“ぼくちゃん”て言うことにしたの
ぼくちゃんには、あたしのお話が見えるけど…、聞こえないの
だから、ぼくちゃんは知らないの
だけど、大好きなわんこを“ぼくちゃん”って言うことにしたの
風も喜んでくれたの


ー“大好き14”へ続くー








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