(これは物語です)
『バレンタインデー』
はなちゃんは、最近元気がありません。ママが「どうしたの…?」
って聞いても小さく「何でもない…」って答えるだけでした。
実は、はなちゃん、仲良しのゆいちゃんとちょっとケンカを
してしまったのです。もう3日ゆいちゃんとお話していません。
『何でケンカしちゃったんだっけ…?』考えても思い出せません。
ただ2人で「大きらい!もう一緒に遊ばない!」と言って泣いた
ことは覚えています。
『あっ!、ゆいちゃん』朝、幼稚園に着いてゆいちゃんを見つけても、
いつものように「おはよー」と言って駆け寄っていくことができません。
『大きらいって言っちゃったもんなぁ…』そう思うと体が固くなって
声も出なくなってしまうのです。ゆいちゃんもはなちゃんをチラッと
見ていますが、どちらとも駆け寄ったりはしませんでした。
その日、はなちゃんはママとお買い物にいきました。
お店にいっぱい並んだチョコレートを見てはなちゃんは、
はなちゃんが今よりもうちょっと小っちゃかった頃にママが
教えてくれたことを思い出しました。
「ねえ、ママ、どうしてチョコレートいっぱいあるの…?」
「今日はね、バレンタインデーだからよ」
「バレンタインデーって…?チョコレートの日…?」
「大好きな人にチョコレートをあげて大好きな気持ちを伝える日よ」
『あっ!』
はなちゃんは笑顔になってママにお願いしました。
「ママ、チョコレート買って、可愛いリボンも付けてもらってね!」
ママは、はなちゃんの笑顔とお願いの理由(わけ)を次の日の朝、
幼稚園で知りました。
はなちゃんの笑顔と、駆け寄ってきたはなちゃんのチョコレートを
嬉しそうに「ありがとう」って受け取ってくれたゆいちゃんの
笑顔と一緒に…。二人はいつものように手をつないで走って行きました。
-おわり-
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