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ショートストーリー5

(これは物語です)

『いたずら』

天使のチッチは、神様に言われて、雨雲に乗って地上に
雨を降らせる仕事をしていました。
いつもいつもジョーロで、雨ばかりを降らせていたチッチは
「真っ白な雲に乗って、真っ白な雪を降らせてみたいなぁ…」
と呟きました。
でも、雪を降らせるのは、同じ天使のノンノの仕事でした。
それに、雪を降らせる季節は終わってしまったばかりでした。
神様は、もう、雪は作っていませんでした。

「つまんないなぁ…」
チッチは、また呟きながら、いつものように灰色の雨雲に乗って、
雨を降らせる準備をしていました。
神様に教えられたいつもの場所に雨をくみに行く途中、チッチは、
真っ白い雲を見つけました。
「あれっ…?、ノンノが片づけるの忘れたのかな…?」
チッチはまた呟いて、ノンノに教えに行こうとしました。
でも、その時、チッチは“いいこと”を思いつきました。
“チッチのいいこと”、それは、ちょっとした“いたずら”でした。
「この雲に乗って、雪を降らせちゃおう!」
チッチは呟いて、いつもの雨雲ではなくて、真っ白な雲に乗って、
いつも雨を降らせている場所に戻りました。

雪を降らせようとしたチッチは、雪がないことに気づきました。
「な~んだ、どうしょう…」
チッチは呟いて、考えました。
考えて、また“いいこと”を思いつきました。
「そうだ!、この雲をちぎって降らせちゃおう!」
チッチは、何だか嬉しくなって、少し大きな声で呟きました。
「だって、真っ白だもん、ふわふわ降れば雪だよね!」
チッチは、自分が乗っている真っ白な雲を少しずつちぎって降らせました。
「わ~、きれ~い!」
チッチは、地上にふわふわ降り注ぐちっちゃな真っ白い雲を見て
思わず叫びました。
地上にふわふわ降り注ぐ真っ白な雲の雪を見て、驚いたのは、
神様でした。

神様は、それがチッチの“いたずら”だとすぐに気づきました。
神様は、チッチを少し叱ったあと、優しく聞きました。
「お前は、そんなに雪を降らせたかったのか…?」
「はい…」
チッチは、いつもよりとても小さな声で応えました。
「そうか~」
そう言ってから、神様はチッチに言いました。
「雲の雪は、ふわふわきれいな雪だな」
「うん!、あっ、はい!」
チッチは、笑顔で嬉しそうに応えました。

「チッチの手たからこそ、あれほど美しい雪になったのだろう…」
神様は、考えました。

春の始まりの頃に、空からふわふわ降ってくる雪、それは、
神様に、その季節にだけ、時々降らすこと許されたチッチのちぎった
真っ白な雲の雪なのでしょう…。

ほら!、チッチが嬉しそうに小さな手で、真っ白な雲をちぎって
雪を降らせている姿が見えてきませんか…?


-おわり-





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