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ショートストーリー4

(これは物語です)

『そら』

あなたは、「そら」を飛びたいと思ったことがありますか…?
あなたは、「そら」を飛んだことがありますか…?

ミュウちゃんは、「そら」を飛んだことがあります
そらには、青があって、黒があって、夕焼けがあって
どこまてもどこまても永遠みたいに続いています
雲があって、翼をつけた鳥が飛んでいて…

ミュウちゃんは、地上に生まれる前、「そら」に生きていました
ミュウちゃんは、翼をつけて飛んでいました
ミュウちゃんは、「そら」から見える地上に憧れていました
地上には、たくさんの色があって、たくさんの匂いがあって・・・

ミュウちゃんは、「そら」を自由に飛んで「そら」に生きていました
「そら」は、青になって、雲が浮かんで、夕焼になって、黒になって…
また、青になって、雲が浮かんで、夕焼になって、黒になって…
それを何度も何度も繰り返しました
ミュウちゃんは「そら」での命を終えました

ミュウちゃんは、憧れていた地上に生まれました
幼いミュウちゃんは、ママにブランコに乗せてもらいました
ママは、ブランコに乗ったミュウちゃんの背中を押してくれました
雲が浮かんでいる青い「そら」に向かって力いっぱい…
ミュウちゃんは、体が“フワ~”となる感じがしました
“あれっ…?”ミュウちゃんは、何だか懐かしい感じがしました
近づいてきた雲も青い「そら」も懐かしい感じがしました

人が「そら」を飛びたいと思うのは、懐かしさなのかもしれません
あなたもあの「そら」を自由に飛んで生きていたのかもしれません
人は、「そら」に憧れます

ミュウちゃんだって、「そら」で生きていたことを覚えてはいません
ミュウちゃんだって、「そら」を飛んでいたことを覚えてはいません
人は、「そら」に憧れます

あなたは、「そら」を飛びたいと思ったことがありますか…?
あなたは、「そら」を飛んだことがありますか…?


-おわり-






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「真っ赤な紅を・・・。」3

かのは、小さく呟きました。
「涙ってこんな時に零れるんですね・・・」
青年は、そんなかのの顔を覗き込んですまなさそうに言いました。
「お前は、私がいなくなると、また独りになってしまうんだな」
そして、かのをまっすぐ見て
「一緒に帰ろう!」
と言ってくれたのです。
「鬼と一緒に帰っては、あなたがひどい目にあうから・・・」
かのは、あとずさりしましたが、
「髪の毛をとき、赤い紅をさせば、誰にも負けないほどきれいになる、
小さな角も牙も隠れてしまう、何より、お前は優しい」
青年はそう言って、かのをつれて、いいなづけのいる村に帰って
行くことに決めてしまいました。

青年は優しく微笑み、はじめて髪をとき、その唇に真っ赤な紅をさした
かのは、この世の幸せがすべてその身に降り注いだかのような美しい笑顔を
浮かべていたそうです。

-“真っ赤な紅を・・・。”4へ続く-







「真っ赤な紅を…。」2

かのはある日、見慣れない青年に
「この辺りに不治の病に効くという薬草はないか?」
と声をかけられました。
かのは、まだこの奥山に自分に声をかけてくる人間がいたことに驚きましたが、
「その薬草なら、この奥山にありますが、育ちが悪くてずいぶん探さなければ
見つけられないのです」
と答えました。
すると、青年は
「私のいいなづけが不治の病に苦しんでいて、どうしても、
その薬草を持って帰ってやりたいんだ」
とまっすぐかのに伝えました。
かのは、また少し驚いて
「あなたは、わたしが鬼であることはこの醜い姿を見て解ったはず…、
なのに…、恐ろしくはないのですか?」
と聞きました。
青年は
「お前は私を食おうとしているわけではないのだろう?
もう滅んでしまったと聞いていた鬼がいたことには驚いたが…」
そう微笑んで
「お前は薬草のことをよく知っているようだな、あの薬草が見つかるように、
もっと教えてくれないか」
と薬草が見つかるまでかのの小屋に寝泊まりすることを決めてしまったのです。
もうずっと長い間、自分のためだけに食べ物を作り、たった独りで暮らしてきた
かのにとって誰かが一緒にいる暮らしは思いもよらず楽しくて、
暖かなものでした。
そして、いつの頃からかかのは、『いつまでもこの暮らしが続けば』
と『いつまでもあの人がここにいてくれたら』と思うようになりました。
そんなある日、青年がかのに言いました。
「お前が髪をとき、赤い紅でもさせば、人間の同じように若い娘よりも
美しくなるだろうな」
かのは、天にも昇るほどの嬉しさで心が張り裂けそうになりました。
そして、『あの人と同じ場所で暮らせたら・・・』そんな想いが強くなるにつれ、
月に一度の“その日”あの人に隠れるようにして里に下り、
人の血をいただく自分の姿をおぞましく悲しく思うのでした。
ずいぶん時が経ち、とうとう、かのが身も凍るほど恐れていた時が
きてしまったのです。
ある日、小屋に戻ってきた青年の手には、あの薬草が握られていたのです。
「いいえ、その花は違います・・・」かのの口からはこんな言葉が
飛び出そうになりましたが、愛しい人の笑顔には嘘はつけません。
「よかった・・・」
精一杯の笑顔でそう言いましたが、その目からは、
大粒の涙が零れ落ちたのです。

-“真っ赤な紅を・・・。”3へ続く-







「真っ赤な紅を…。」1

ずーとずーと昔の話、奥山の奥のもっと奥にかのは住んでました。
髪の毛を振り乱し、小さな角と牙を持つかのには、
悲しい定めがありました。
それは、月のうち一日は必ず人の血を体に入れなければ命が薄らいで
いってしまうというものでした。
それでも、かのの体に必要な血は小指の先ほどもなく、
血を分ける人間には、痛みなどは全くなかったそうです。
それでも、血をいただく時の牙を剥き出す恐ろしい姿から
「命がなくなる」と言い出す者がでて、かのの仲間は里から
奥山に追われ、滅んでしまったそうです。

きっとかのは、ずっと独りぼっちだったのでしょう…。
そう、あの日までは…。

-“真っ赤な紅を…。”2へ続く-






『赤ちゃん』5

(これは物語です)

「2.女の子」

-2-

赤ちゃんは、もうちょっと大きくなりました。

髪の毛が伸びました。
結んでもらって嬉しそうにしています。
お気に入りのスカートをはいています。

赤ちゃんの命は、ちょっとずつ女の子に育っています。

赤ちゃんは、もうちょっと大きくなりました。

「“あたち”がやってあげる!」
楽しそうにお手伝いをしています。
「おなか、いたいん・・・?」
心配そうに、顔をのぞき込んできます。

赤ちゃんの命は、無邪気に優しく育っています。

赤ちゃんは、少女になりました。

小さな頃の柔らかさ
ちいさな頃の優しい心
小さな頃の無邪気な心
のどかに、そのまま、変わっていないでしょう・・・。

生まれた赤ちゃんの命は、可愛い少女に育っているでしょう・・・。

-“赤ちゃん”終わり-









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