忍者ブログ

カレンダー

06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

リンク

カテゴリー

フリーエリア

最新CM

最新記事

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最古記事

P R

[54]  [55]  [56]  [57]  [58]  [59]  [60]  [61]  [62]  [63]  [64

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ショートストーリー6

(これは物語です)

『バレンタインデー』

はなちゃんは、最近元気がありません。ママが「どうしたの…?」
って聞いても小さく「何でもない…」って答えるだけでした。
実は、はなちゃん、仲良しのゆいちゃんとちょっとケンカを
してしまったのです。もう3日ゆいちゃんとお話していません。
『何でケンカしちゃったんだっけ…?』考えても思い出せません。
ただ2人で「大きらい!もう一緒に遊ばない!」と言って泣いた
ことは覚えています。
『あっ!、ゆいちゃん』朝、幼稚園に着いてゆいちゃんを見つけても、
いつものように「おはよー」と言って駆け寄っていくことができません。
『大きらいって言っちゃったもんなぁ…』そう思うと体が固くなって
声も出なくなってしまうのです。ゆいちゃんもはなちゃんをチラッと
見ていますが、どちらとも駆け寄ったりはしませんでした。

その日、はなちゃんはママとお買い物にいきました。
お店にいっぱい並んだチョコレートを見てはなちゃんは、
はなちゃんが今よりもうちょっと小っちゃかった頃にママが
教えてくれたことを思い出しました。

「ねえ、ママ、どうしてチョコレートいっぱいあるの…?」
「今日はね、バレンタインデーだからよ」
「バレンタインデーって…?チョコレートの日…?」
「大好きな人にチョコレートをあげて大好きな気持ちを伝える日よ」

『あっ!』
はなちゃんは笑顔になってママにお願いしました。
「ママ、チョコレート買って、可愛いリボンも付けてもらってね!」

ママは、はなちゃんの笑顔とお願いの理由(わけ)を次の日の朝、
幼稚園で知りました。
はなちゃんの笑顔と、駆け寄ってきたはなちゃんのチョコレートを
嬉しそうに「ありがとう」って受け取ってくれたゆいちゃんの
笑顔と一緒に…。二人はいつものように手をつないで走って行きました。


-おわり-









PR

ショートストーリー5

(これは物語です)

『いたずら』

天使のチッチは、神様に言われて、雨雲に乗って地上に
雨を降らせる仕事をしていました。
いつもいつもジョーロで、雨ばかりを降らせていたチッチは
「真っ白な雲に乗って、真っ白な雪を降らせてみたいなぁ…」
と呟きました。
でも、雪を降らせるのは、同じ天使のノンノの仕事でした。
それに、雪を降らせる季節は終わってしまったばかりでした。
神様は、もう、雪は作っていませんでした。

「つまんないなぁ…」
チッチは、また呟きながら、いつものように灰色の雨雲に乗って、
雨を降らせる準備をしていました。
神様に教えられたいつもの場所に雨をくみに行く途中、チッチは、
真っ白い雲を見つけました。
「あれっ…?、ノンノが片づけるの忘れたのかな…?」
チッチはまた呟いて、ノンノに教えに行こうとしました。
でも、その時、チッチは“いいこと”を思いつきました。
“チッチのいいこと”、それは、ちょっとした“いたずら”でした。
「この雲に乗って、雪を降らせちゃおう!」
チッチは呟いて、いつもの雨雲ではなくて、真っ白な雲に乗って、
いつも雨を降らせている場所に戻りました。

雪を降らせようとしたチッチは、雪がないことに気づきました。
「な~んだ、どうしょう…」
チッチは呟いて、考えました。
考えて、また“いいこと”を思いつきました。
「そうだ!、この雲をちぎって降らせちゃおう!」
チッチは、何だか嬉しくなって、少し大きな声で呟きました。
「だって、真っ白だもん、ふわふわ降れば雪だよね!」
チッチは、自分が乗っている真っ白な雲を少しずつちぎって降らせました。
「わ~、きれ~い!」
チッチは、地上にふわふわ降り注ぐちっちゃな真っ白い雲を見て
思わず叫びました。
地上にふわふわ降り注ぐ真っ白な雲の雪を見て、驚いたのは、
神様でした。

神様は、それがチッチの“いたずら”だとすぐに気づきました。
神様は、チッチを少し叱ったあと、優しく聞きました。
「お前は、そんなに雪を降らせたかったのか…?」
「はい…」
チッチは、いつもよりとても小さな声で応えました。
「そうか~」
そう言ってから、神様はチッチに言いました。
「雲の雪は、ふわふわきれいな雪だな」
「うん!、あっ、はい!」
チッチは、笑顔で嬉しそうに応えました。

「チッチの手たからこそ、あれほど美しい雪になったのだろう…」
神様は、考えました。

春の始まりの頃に、空からふわふわ降ってくる雪、それは、
神様に、その季節にだけ、時々降らすこと許されたチッチのちぎった
真っ白な雲の雪なのでしょう…。

ほら!、チッチが嬉しそうに小さな手で、真っ白な雲をちぎって
雪を降らせている姿が見えてきませんか…?


-おわり-





『みんな同じ』8

(これは物語です)

「人②」

肌の色が違う人々は
また戦いを始めました。

やがて
兵士たちが混じり合っての
銃撃戦になりました。
若い兵士たちが戦いのために
お互いの命を奪い合う
悲しい時間が流れました。

戦っていた
若い兵士たちは
お互いの銃弾に倒れ
共に命を落としていきました。

同じ場所で
命を落とした兵士たちは
共に体を焼かれ骨になり
共に土に返っていきました。

なぜ
お互いに敵として
戦わなければならなかったのでしょう…?
肌の色が違っていたから…?

みんな同じです。

ー“みんな同じ”終わりー








『みんな同じ』7

(これは物語です)

「人①」

娘は
女優の美しい姿と素晴らしい演技に
憧れていました。

女優は
毎日テレビに映っていました。
娘には憧れの女優が
永遠に輝き続けるかのように
思えていました。
「いいなぁ…」

娘は
少しでも憧れの女優に近づきたくて
顔を美しくつくったり体を美しくしたり
演技やダンスを習ったりしていました。

憧れの女優が亡くなったことを
娘はテレビのニュースで知りました。
突然のことでした。
娘は悲しんで涙を流しました。

花で飾れた大きくて立派な祭壇には
美しく微笑む女優の姿を映した
大きな遺影がありました。
毎日のようにテレビに映る
女優の大きな遺影を見ていました。

そして
解っていたはずのことを
そっと呟きました。
「この人も死ぬんだ…」

みんな同じです。


-“みんな同じ8”へ続く-







『みんな同じ』6

「魚」

タイとヒラメは
広い海で自由に泳いで
生きていました。

ヒラメは
大きなタイを見て
「大きくてカッコイイなぁ・・・」
羨ましく思っていました。

タイの目の前に
小さな魚が現れました。
空腹を感じていたタイは
思わず食いついていました。

小さな異物が
タイの喉に引っ掛かりました。
いくら暴れても異物は
タイの喉から取れません。
「しまった・・・!」

タイは
おいしそうなお刺身になって
スーパーの魚コーナーの棚に
並びました。

お母さんは
お父さんのお酒のおつまみに
タイのお刺身を買って帰りました。

お父さんの晩酌の食卓には
お酒とお刺身の乗ってお皿が
並びました。
「お~、これはおいしそうだ!」
お父さん大喜びでお刺身をおつまみに
お酒を呑んでいました。

お刺身のお皿
あのタイのお刺身の隣には
あのヒラメもお刺身になって
並んでいました。

もちろん
ヒラメもタイと同じように
釣られてしまったのです。

みんな同じです。

-“みんな同じ7”へ続く-








忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne