沖縄旅行６


釣り竿と笑顔５

「ほんとに楽しそうですよね！」
「全然、飽きないって感じ」
「確かに！」
「子供みたい！」
「男の人ってそうですよね」
「前回会った時より、彼、カッコよくならはりましたよね！、
びっくりしました！」
「ありがとう！、お腹出てきたとか言ってるけどね」
「チャペルで名前呼ばれた時、ドキッとしましたもん！」
友達と調子に乗って喋っていると、彼がこちらに近づいてきて言いました。
「そろそろ、運転手さんに電話せんでええんか…？」
「えっ…？」
私は、スマートフォンの時間を見ました。
「あっ、もう、こんな時間、釣りは…？、もういいの…？」
「ああ、エサなくなったしな！」
「魚、釣れた…？」
「あかんかったわ！、エサばっかり食われた…！」
「そうか～、残念やったな」
「うん、でも、魚釣りができたことがよかってん！」
彼は、また、子供みたいな笑顔を見せてくれました。
「じゃあ、電話するね！」


“魚釣りと笑顔６”へつづく

沖縄旅行６


釣り竿と笑顔４

「魚、釣れるかなぁ…？」
「さぁ、どうかなぁ」

彼は楽しそうに釣りをしていました。
エサを付けて、竿を地面に置いて、海に糸をたらして、しばらく待って、
糸を巻き上げ、またエサを付けて、竿を地面に置いて、糸を海にたらして…、
２本の竿で交互にそれを繰り返していました。
ルアーも使ってたかなぁ…？

『竿、手で持たないんだ…』
私は、何となく思いながら、彼がまるで子供のように無邪気に魚釣りを
する姿を眺めていました。
『ほんとに、魚釣りしたかったんだろうなぁ…、来られてよかった…』
沖縄の雲空の下、道案内をしてくれた友達とおしゃべりをしながら、
彼の笑顔にとてもとても幸せな気持ちになりました。


“魚釣りと笑顔５”へつづく

沖縄旅行６


釣り竿と笑顔３

「この辺で止まってもらえますか」
「解りました」
彼が釣り道具を買ったお店から少し走った所で友達が運転手さんに声を掛け、
タクシーは止まりました。
「ここなんですよ」
友達が言って、彼も降りる準備を始めました。
運転手さんが私のシートベルトと車椅子の固定を外して、リフトで降ろして
くれました。

「帰られる３０分前には連絡下さいね」
運転手さんがそう言って、私たちを降ろした介護タクシーは走って行きました。

私を海の近くまで連れて行くと、彼は、釣り竿やエサやルアーを準備して、
針にエサを付け始めました。
「エサがなくなるまでな！」
また笑顔でそう言うと、海に釣り竿の糸をたらしました。
持ってきた釣り竿は２本なので、糸は２本たらしていました。


“魚釣りと笑顔４”へつづく

沖縄旅行６


釣り竿と笑顔２

「昨日、２次会遅くまでやってたんか…？」
「２次会が終わって、それからまたみんなであのお店で飲んでました、
３次会ですかね！」
「そうか～、若いなぁ…！、俺ら、２次会で帰ったからなぁ」
「式も出席して頂いて嬉しかったです、ありがとうこざいました」

「あっ、そこのお店の前で止まってもらえますか」
タクシーが一軒のお店の手前まできた時、助手席に座っていた友達が
運転手さんに声を掛けました。
タクシーは止まって、彼と友達は釣りの道具を買いに行きました。
私はしばらくタクシーの中で待っていました。

「ええのあったで！」
「うん、よかったな！」
彼は、友達と一緒にタクシーまで帰ってきて、私の横の席に座りながら
笑顔で言いました。
『嬉しそうやなぁ…！』
私も、その笑顔にとても嬉しくなりました。
タクシーのドアが閉まり、また走り出しました。


“魚釣りと笑顔３”へつづく

沖縄旅行６


釣り竿と笑顔１

「おはよう！、時間やで！」
「おはよう！、今日はどんな感じ…？」
「雲は出てるけど…、まあ、雨は大丈夫やろ～」
「青空じゃないんや～、残念…」
「釣りは、晴れてて暑かったら大変やで」　
「あ、そうか、じゃあ、雨が降らへんかったらいいか！」
「そうや！」
沖縄３日目、今日は、魚釣りの日です。
お天気を確認して、朝ごはんを食べて、彼に支度をしてもらって、
出掛ける準備はOKです。

約束の時間になって、介護タクシーと結婚式に招待してくれた彼の友達が
宿の前に揃いました。
彼の友達が陸から釣りができる所まで道案内をしてくれます。

友達も私たちといっしょに迎えにきてくれたタクシーに乗り込みました。
さぁ！、魚釣りに出発です。


“魚釣りと笑顔２”へつづく