沖縄旅行４


早起きと青い空５

「並んで座れるのいいなぁ」
「ああ、いつも座席って真横と違うもんな」
「ああ…、そうなんですか」
「はい、とても楽に話せます」

彼が車椅子の隣の席に座って話をしながら、沖縄にくるといつも泊まっている
宿に着きました。
明日のお迎えの時間を確認して、運転手さんにお礼を言って、私たちは宿に
入りました。

チェックインの手続きをして、送った荷物を受け取り、バリアフリーの部屋
で休憩しました。
「なんか懐かしいなぁ」
「やっぱり広いしええなぁ…」

夕方になり、近所のスーパーに夕食を買いに行きました。
グルクンの唐揚げにタコとイカのお刺身に鉄火巻き、そして、赤えびのお刺身
を買い込んで部屋に帰ってきて食べました。
「おいしいー！」
「そうか～よかった！」


“沖縄旅行５”へつづく

沖縄旅行４


早起きと青い空４

「○○タクシーの○○ですけど…」
「はい、お世話になります」
「どこにおられますか…？」
「あっ、今…」

彼が喫煙室から出てくるのを待っていると、電話が鳴りました。
電話に向かって話していると、男の人が電話で話をしながら
私の方に近づいてきました。
『あっ！』
私が思った時、彼が喫煙室から出てきました。

「よろしくお願いします、車椅子が見えたので…」
運転手さんが笑顔で言いました。
私はその声にほんのり懐かしさを感じました。
『こんな人やったんや…！』

私たちは運転手さんに案内されて介護タクシーに乗り込みました。
運転手さんが私が乗っている車椅子を固定してくれてシートベルトを
してくれました。

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沖縄旅行４


早起きと青い空３

「着いたなぁ」
「沖縄の匂いする」
「そうか～！」
「車椅子もなんか懐かしい…！」
私たちは早起きの後遺症が消えないまま那覇空港に到着しました。
アロハを着た男前の係員さんと彼に座席からもう一度空港の車椅子に
移してもらって飛行機を降りました。
自分の車椅子を受け取り、彼に座らせてもらった時、２時間ほど離れて
ただけなのに、とても懐かしくてホッとした気持ちになりました。

「晴れてるなぁ！」
「ほんま！」
「よかったな」
「うん！、沖縄の青空見たかったもん！」
沖縄はもう梅雨の後半に入っていて、雨降りは覚悟していました。
スタートに青い空が見られて早起きの後遺症も吹き飛ぶほどの嬉しい
気持ちになりました。　
『あー、また沖縄に来られたー』
心にワクワクが込み上げてきました。
「結婚式も晴れたらいいね！」
「ほんまやな！」


“早起きと青い空４”へつづく

沖縄旅行４


早起きと青い空２

「賑やかで寝られへんわ」
「飛行機で寝たらええやん」
「そやな」
たくさんの人の荷物と賑やかに飛び交っている韓国語のような言葉が
はるかに乗っている私たちが睡魔を癒やすのを遮っていました。

関西空港に到着して、搭乗手続きを済ませ、しばらく空港を探索し、
手荷物チェックをして…、〝飛行機の出発の２時間前から空港に
缶詰め状態なんて…〟いつもながらウンザリしはじめた頃、やっと
搭乗口が開く時間になりました。
自分の車椅子を預け、空港の車椅子に乗り換えて、飛行機に入り、
彼とCAさんに座席に座らせてもらいました。
飛行機が離陸を始めて、いよいよ沖縄に向かいます。

〝飛行機で寝よな〟合い言葉はまたみごとに打ち砕かれました。
梅雨前線のために、飛行機は思っていたより揺れて、同じ飛行機に
乗っていた学生服の女の子たちの声がその度に〝キャーキャー〟
団体で聞こえてくるのです。
「寝られへんな」
彼が〝はるか〟の時より小さな声で呟きました。
「うん…」
私も揺れに少しの恐怖を感じていました。


“早起きと青い空３”へつづく

沖縄旅行４


早起きと青い空１

「おはよう、時間やで」
「眠たいなぁ、おはよう」
「飛行機で寝よな」
「うん、そうしよな」
かなり久しぶりに早起きしました。
この日は、ヘルパーさんをキャンセルして、頭がボーっとしたまま彼に
服を着替えさせてもらって、彼と一緒に鍵をかけて家を出ました。
まだ少し澄んだ風が吹く中、関西空港に向かいました。
〝飛行機で寝よな〟が道すがらの２人の合い言葉でした。

朝ごはんを買って、地下鉄東西線で山科駅に向かい、JR山科駅から
はるかに乗り込みました。

京都駅に着くと、大きな荷物を持って賑やかにたくさんの人たちが
乗ってきました。
「私たちも沖縄に３泊も行くのにな」
「ああ、俺ら荷物送ったもんな！」
「ほんまに賑やかやなぁ」
彼と朝ごはんのサンドイッチを食べていた私は、たくさんの人と荷物に
ちょっと面食らってしまい、私たちとの荷物の量の違いと賑やかさに
思わず笑い出しそうになりました。


“早起きと青い空２”へつづく