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「バイバイ」また逢えるよね ③

そんなことがあってからしばらくして、ゆうちゃんが悲しそうな顔で言いました。

「私、転校せなあかんねんて」
「なんで…?」
「私んとこ近くに新しい学校出来てん、そやから、近くの人はその学校に行かなあかんねんて、その学校な、ここみたいに寄宿舎ないねんて、そやから、ともちゃんみたいにずっと一緒に遊べる友達できひんかもしれんわ…」
「ほんなら、転校すんのいややて、言うたらええねん」
「私も転校なんかしとないわ、ともちゃんとお別れせなあかんもん」
「ほな、頼んでもうたらええねん」
「お父ちゃん、頼んでくれはってんけど、どうしてもあかんねんて」
「なんで…?」

そう言ってともこがゆうちゃんの顔を見るとゆうちゃんはベソをかいていました。

「ごめんな、ゆうちゃんもかなんのにな、そやけど寂しいやん」

ともこもこらえていたものが吹き出しそうになりました。

「そんな学校、出来ひんかったらよかったのに…」
「なんで、出来たんやろ」

ゆうちゃんの大きな瞳からは今にも涙が零れてきそうでした。

 ともこは寄宿舎の先生に聞いてみました。

「なあ、ゆうちゃんが転校せんでもええようにならへんの…?」
「先生らも何とかここにおいてあげたいし、学校に聞いてみたんやけど、ゆうちゃんの住んでる地域の子はそっちの学校に行かなあかんねんて」
「そんなん、寄宿舎もないし、寄宿舎があった方がいい人は寄宿舎のあるとこにいたらいいんとちがうの…?、転校せんでも…、ゆうちゃん、ここにいたい言うてんのに…」
「先生らもそう思うし、何とかしてあげたいねんけどな…、どうしょもできひんねん、ごめんな、寂しいな」

ともこは涙が出そうになって、もう何も言えなくなりました。

 寂しさを我慢しながらも、二人は何とか明るく遊んでいました。
そんなある日、ゆうちゃんがともこに言いました。

「私が転校しても、ずっと友達でいてな」
「当たり前やん」
「ほんまに、約束やで」
「ずっと友達やで」


~つづく~













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「バイバイ」また逢えるよね ②

ともこがゆうちゃんに初めて出逢ったのは、もう何年も前の春のことでした。その頃ともこは、養護学校の寄宿舎で生活していました。
 その日ともこは、部屋の中で一番陽のあたるいつもの場所で本を読んでいました。そこに青い車椅子に乗った女の子が、その子のお母さんらしい人と一緒に入ってきました。その女の子の乗っている車椅子がともこの前に止められました。
 ともこは、本を読んでいた顔を少し上げてみました。その女の子は、少し緊張した感じでともこに向かって微笑みかけました。それから、緊張した少し不自由な言葉でともこに聞きました。
 
「名前、なんて、いうん?」
 
その子は目が大きくて、とても人なつっこい笑顔をしていました。
『可愛い』
ともこはそう思いました。二人は、その子のお母さんが荷物の整理をしている間にとても仲良くなりました。
 ゆうちゃんは、ともこよりも一つ年下で、ともこにとっては、妹みたいでした。二人はヒマさえあれば、おしゃべりをし、遊び、とにかくずーっと一緒でした。ゆうちゃんはどんなことでもともこに相談してくれました。ともこが悲しそうな顔をしているとゆちゃんも泣きそうな顔で
 
「どうしたん?」
 
と聞いてくれました。
 
「大丈夫やで」
 
そう励ましてもくれました。二人で一緒にいると、とても楽しい気持ちになりました。
 そんなある日、仲の良い二人を見ていた寄宿舎の先生がともこに、ゆうちゃんの障害が進行性だと話してくれました。ともこは、すごくショックでした。

「なんで?」

ともこがそういうとその先生は

「他の人よりは長いこと生きられへんかもしれんけど…、ゆうちゃんに楽しい思い出、たくさん作ってあげてほしいんや、そやから、あんたには知っておいてほしかったんや」

そんなふうに言ってくれました。


~つづく~






「バイバイ」また逢えるよね ①

 ともこがそのことを知ったのは、本当に突然でした。ハンディを持った人の集まりにいつものように参加していた時のことです。話し合いが始まろうとした時、礼服を着た男の人が部屋に入ってきました。

「遅うなったなー、ごめん」

その声に振り向くと、その男(ひと)はいつもその集まりに来てくれている養護学校の先生でした。
周りにいた同じ学校の先生はその男(ひと)の礼服姿を見て驚いた様子でした。

「どうしたん先生」
「うーん、実はな、卒業生の葬式やったんや」
「卒業生て誰ですか?」
「悲しいことなんやけどなー、ゆうちゃん、ゆうちゃんなんや」

何となくその会話は聞こえてきました。『ゆうちゃん』
その名前をもう一度頭の中で繰り返してみてともこは、はっとしました。

「ゆうちゃん…?」

その名前はともこの心の中に大きく広がっていきました。
ともこは礼服の先生に必死になって聞きました。

「ゆうちゃんて、中学の時にそっちの学校に転校したあのゆうちゃん?」
「ああ、そやったな、そやけど…、知ってんのか?」
「私、仲良かってん」
「そうかー、今年のこの集まりに来る言うて楽しみにしてたんや、来られてたら逢えてたのにな」
「ほんまに逢えるとこやったんや、逢えてたら、ゆうちゃん、どんな顔したやろ、きっと可愛い顔して笑ってくれたんやろな…、あの頃みたいに…。」


~つづく~




届けばいいな。

私の好きなことの一つに物語を書くことがあります。
今日から、少しずつ自作の物語をアップしていきたいと思います。

最初の物語は、幼なじみの「ゆうちゃん」と「私」のことを書いた物語です。
たくさんの人たちに私の物語が届けばいいなと思っています。
そして…、ゆうちゃんにも、この物語が届きますように…。





春…、新しいはじまり…。

はじめまして。
私は、藤本共美です。
4月…、新しい季節の最初の日。
初のプログアップです。
ということで、まずは私の紹介から。
私の好きなことは、物語りをかくこと、ミュージカルなどの舞台を見ること、カラオケを歌うことなどです。
あったかくもなってきて、電動車いすで色んな所に出掛けていきたいと思ってます。
そして、そこで見つけたり感じたりしたことをたくさん伝えていきたいです。
今まで週1日だったピースフルリンクへの通所もこの4月から週5日通うようになり、とても楽しみです。
よろしくお願いします。








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